「エアコンの電気代が高くて家計を圧迫している」「設定温度を何℃にすれば節約できるのか分からない」──そんな疑問を持つ方は多いでしょう。
結論から言うと、冷房は28℃、暖房は20℃ に設定すると快適さを保ちながら電気代を抑えられます。わずか1℃の調整で電気代を約10〜13%節約できるのです。
この記事では、エアコンの電気代に影響する要素、冷暖房の最適温度、さらに実践できる節約テクニックをまとめて解説します。
エアコンの設定温度は電気代にどれくらい影響する?

エアコンの電気代は設定温度によって大きく変わります。
この章では、温度設定が電気代に与える具体的な影響と、冷房・暖房それぞれの特徴について詳しく解説します。
1℃の温度差で電気代を約10〜13%節約できる
エアコンの設定温度を1℃調整するだけで、電気代を約10〜13%節約できます。
具体的な節約効果を表で示すと以下のようになります。
運転モード | 温度調整 | 節約率 | 月額電気代(例) | 節約額(例) |
冷房 | 27℃→28℃ | 約10% | 8,000円→7,200円 | 800円 |
暖房 | 21℃→20℃ | 約13% | 12,000円→10,440円 | 1,560円 |
節約効果が大きい理由は、エアコンの消費電力が設定温度と室温の差に大きく依存するためです。
エアコン使用時のおすすめ温度設定は?

エアコンの電気代を節約しながら快適に過ごすためには、適切な温度設定が重要です。
以下の記事では、冷房と暖房の推奨室温でも快適に過ごすための節電グッズを紹介しています。
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冷房の推奨室温は28℃前後
夏場の冷房使用時における推奨室温は28℃です。
経済産業省が推進するクールビズキャンペーンでも、オフィスや家庭での28℃設定を推奨しています。
ただし、28℃設定では暑く感じる場合もあるため、26℃〜29℃の範囲で体感温度や室内環境に合わせて調整することが大切です。冷房時の快適性を保つためには、扇風機やサーキュレーターとの併用が効果的です。
暖房の推奨室温は20℃前後
冬場の暖房使用時における推奨室温は20℃です。
ただし、20℃より低い設定では快適性が損なわれる場合があるため、個人差や住環境を考慮して18℃〜22℃の範囲で調整することをおすすめします。暖房効率を高めるためには、設定温度だけでなく湿度も重要な要素となります。
室内の湿度を40〜60%に保つことで、同じ温度でも体感温度が2〜3℃上がり、より快適に過ごせます。
エアコンの冷房と暖房で電気代はどう違う?

エアコンの電気代は冷房と暖房で大きく異なります。
一般的に暖房の方が冷房よりも電気代が高くなる傾向があり、その理由を理解することで効率的な節電対策を立てることができます。
消費電力量から電気代を計算する方法
エアコンの電気代を正確に把握するには、消費電力量を基に計算する方法を知っておく必要があります。
電気代の計算式は「消費電力(kW)× 使用時間(h)× 電力量料金(円/kWh)」で求められます。
例えば、消費電力が0.8kWのエアコンを8時間使用し、電力量料金が27円/kWhすると、0.8kW × 8h × 27円 = 約173円/日、1ヶ月(30日)で約5,200円になります。
ただし、ここで注意すべきは「消費電力が常に一定ではない」という点です。
実際のエアコンは、起動直後や外気温が厳しい時ほど消費電力が高く、安定運転時には抑えられる仕組みになっています。
そのため、単純なカタログ値だけで計算すると、実際の電気代とずれが生じやすいのです。
冷房と暖房の電気代の目安
6畳用エアコンを1日8時間使用した場合の電気代目安を、冷房と暖房で比較してみましょう。
運転モード | 期間 | 消費電力の目安 | 1日の電気代 | 1ヶ月の電気代 |
冷房 | 夏季(7-9月) | 0.6-0.8kW | 130-170円 | 3,900-5,100円 |
暖房 | 冬季(12-2月) | 1.0-1.5kW | 220-320円 | 6,600-9,600円 |
この比較から、暖房の電気代は冷房の約1.5~2倍になることが分かります。
ただし、実際の電気代は以下の要因によって大きく変動します。
- エアコンの機種や年式
- 部屋の広さと断熱性能
- 外気温と設定温度の差
- 使用時間帯と電力料金プラン
暖房の電気代が冷房より高くなる理由
暖房の電気代が冷房よりも高くなる理由には、技術的・環境的な要因があります。
最も大きな理由は、外気温と設定温度の差にあります。
夏季の冷房では外気温35℃に対して設定温度28℃と、温度差は7℃程度です。
一方、冬季の暖房では外気温0℃に対して設定温度20℃と、温度差は20℃にもなります。
季節 | 外気温 | 設定温度 | 温度差 | 必要なエネルギー |
夏季 | 35℃ | 28℃ | 7℃ | 小 |
冬季 | 0℃ | 20℃ | 20℃ | 大 |
この大きな温度差を埋めるため、暖房時はより多くのエネルギーが必要となります。
また、エアコンの暖房は外気温が低いほど効率が落ち、消費電力が増えます。
霜取り運転も電気代上昇の要因で、冷房より暖房の方が高くなりやすいため、省エネ対策が重要です。
冷房・暖房共通で電気代を節約する工夫

冷房と暖房では用途が異なるため、気をつけなければならないポイントも分かれているように感じますが、実は共通する点も多くあります。
まずは、共通しているポイントから説明いたします。
自動運転モードを活用する
エアコンの自動運転モードは、室温と設定温度の差に応じて風量を自動調整する機能です。
手動で風量を「強」に固定すると、設定温度に達した後も強風運転を続けるため電力を無駄に消費してしまいます。
自動運転モードを使用することで、手動運転と比較して約10%の節電効果が期待できます。
フィルター掃除で効率を高める
エアコンのフィルターが汚れていると、フィルターに溜まったホコリが空気の流れを悪化させ、同じ室温を維持するために通常より多くの電力が必要になります。
月に2回程度のフィルター掃除により、冷房・暖房効率を約15%向上させることができます。
室外機の吹き出し口をふさがない
室外機の吹き出し口周辺に障害物があると、熱交換効率が低下し電力消費量が増加します。
吹き出し口の前方は最低50cm、側面は20cm以上の空間を確保する必要があります。
物干し竿や植木鉢、エアコンカバーなどが風の流れを妨げていないか定期的に確認してください。
確保すべき空間 | 距離 | 理由 |
吹き出し口前方 | 50cm以上 | 熱風の放熱効率確保 |
左右側面 | 20cm以上 | 空気の流れ確保 |
上部 | 50cm以上 | 熱風の上昇妨げ防止 |
冷房の電気代を節約する温度設定と工夫

夏場の冷房費用を抑えるには、適切な温度設定と効率的な運転方法を実践することが重要です。
環境省が推奨する冷房時の室温28℃を基準に、さまざまな工夫を組み合わせることで電気代を大幅に節約できます。
換気して熱気を逃がしてから冷房をつける
室内に熱気がこもった状態で冷房を開始すると、設定温度に達するまでに多くの電力を消費します。
冷房をつける前に窓を開けて換気し、室内の熱気を外に逃がすことで初期運転時の電力消費を抑制できます。
締め切った部屋では、外気温より10℃以上高温になっている場合があります。
換気時間の目安は5分程度で、扇風機やサーキュレーターを併用するとより効果的です。
換気方法 | 効果 | 実施時間 |
窓開け換気 | 室内温度を2-5℃下げる | 3-5分 |
扇風機併用換気 | 室内温度を5-8℃下げる | 2-3分 |
対角線上の窓開け | 室内温度を3-6℃下げる | 3-4分 |
軽装で体感温度を下げる
服装を工夫することで、エアコンの設定温度を上げても快適に過ごすことができます。
綿や麻などの通気性の良い素材を選び、薄着にすることで体感温度を2-3℃下げる効果があります。
色については、黒や濃い色より白や淡い色の方が熱を吸収しにくく涼しく感じられます。
室外機を日陰に設置・日除けで直射日光を防ぐ
室外機が直射日光を受けると周辺温度が上昇し、熱交換効率が著しく低下します。
直射日光下では室外機周辺の温度が50℃を超えることもあり、冷房効率が大幅に低下して電気代が20-30%増加する場合があります。
すだれやシェード、専用の室外機カバーを使用して日除けを設置することで、冷房効率を改善できます。
ただし、風通しを妨げないよう、吹き出し口から離れた場所に設置することが重要です。
暖房の電気代を節約する温度設定と工夫

暖房の電気代は冷房よりも高くなりがちですが、適切な温度設定と効率的な使用方法を実践することで、大幅な節約が期待できます。
ここでは、暖房使用時に電気代を抑えるための具体的な方法を8つのポイントに分けて詳しく解説します。
足元から暖めて効率アップ
暖かい空気は上昇する性質があるため、足元が冷たいと体感温度が下がり、設定温度を上げがちになります。
電気カーペットやホットカーペット、こたつなどを併用することで、エアコンの設定温度を2〜3℃下げても同等の暖かさを感じられます。
サーキュレーターや扇風機を天井に向けて回すことで、暖かい空気を足元に循環させる方法も効果的です。
厚手のスリッパやルームシューズを着用するだけでも、体感温度を1〜2℃上げることができます。
温度ムラをなくし冷気だまりを防ぐ
室内の温度ムラは、エアコンが必要以上に運転する原因となり、電気代の無駄遣いにつながります。
冷気が溜まりやすい窓際や床面の対策が重要で、厚手のカーテンや断熱シートの活用が効果的です。
室内の空気を循環させるため、サーキュレーターを室内の対角線上に設置し、弱風で連続運転させましょう。
家具の配置も重要で、エアコンの風が直接当たる場所に大きな家具を置かないことで、効率的な空気循環が可能になります。
ドアの下の隙間から冷気が入ることを防ぐため、隙間テープや厚手のカーテンで対策することも効果的です。
20〜22℃を目安に無理のない設定温度にする
暖房時の適正な室温は20〜22℃とされており、この範囲内で設定することが電気代節約の基本です。
1℃温度を下げることで、暖房の電気代を約10%削減できるため、可能な限り低めの設定を心がけましょう。
設定温度 | 快適性 | 電気代目安(月額) |
18℃ | やや寒い | 約3,200円 |
20℃ | 適温 | 約4,000円 |
22℃ | 快適 | 約4,800円 |
24℃ | やや暖かい | 約5,600円 |
個人差はありますが、厚着をして20℃設定にすることで、24℃設定と同等の快適さを得ながら月額約1,600円の節約が可能です。
加湿して体感温度を上げる
室内の湿度が低いと寒く感じ設定温度を上げがちです。
湿度50〜60%を保てば体感温度が2〜3℃上がり、暖房温度を下げられます。
加湿器や洗濯物の室内干し、観葉植物を置くことで加湿することも出来ます。
ただし湿度が70%を超えると、結露やカビの原因となるため湿度管理には気をつけましょう。
カーテンを工夫して熱の流出を防ぐ
窓からの熱損失は室内の暖房負荷を大きく増加させるため、適切なカーテン選びと使い方が節電につながります。
厚手の断熱カーテンや遮熱カーテンを使用することで、窓からの熱損失を30〜40%削減できます。
カーテンの丈は窓枠より10〜15cm長くし、床につく程度にすることで冷気の侵入を効果的に防げます。
二重カーテン(レースカーテンと厚手カーテンの併用)により、さらに高い断熱効果を得ることができます。
プチプチシート(断熱シート)を窓に貼ることも、費用対効果の高い断熱対策として推奨されています。
エアコンはつけっぱなしとこまめなオンオフ、どちらが電気代節約になる?

エアコンの電気代を節約する際に最も議論されるのが、つけっぱなしにするかこまめにオンオフするかという問題です。
実際には使用時間や外気温との差、部屋の断熱性能などによって最適解が変わるため、それぞれの特徴を理解して判断することが重要です。
つけっぱなし運転のメリット・デメリット
つけっぱなし運転は、エアコンを連続稼働させることで室温を一定に保つ方法です。
項目 | メリット | デメリット |
電力消費 | 起動時の高い消費電力を避けられる | 長時間不在時は無駄な電力消費 |
室温管理 | 常に一定温度で快適 | 必要以上に冷やし過ぎることがある |
機器負担 | 頻繁な起動停止による負担軽減 | 連続運転による機器の負担増加 |
つけっぱなし運転が効果的なのは、外出時間が30分から1時間程度の短時間の場合です。
こまめなオンオフのメリット・デメリット
こまめなオンオフは、必要な時だけ稼働させる従来型の節約法です。
長時間の外出時には、つけっぱなしよりも電気代を抑えられるのが特徴です。
項目 | メリット | デメリット |
節約効果 | 不在時の無駄な電力消費を完全に防げる | 再起動時に消費電力が増える |
活用シーン | 2時間以上の外出や就寝時に有効 | 短時間の外出では逆に電気代が高くなる場合がある |
快適性 | 室温を必要に応じて調整できる | 外出後に戻ると室温が極端に変化しており、再度快適になるまで時間がかかる |
シャープの実証実験では、8時間の外出で約40%の節電効果が確認されています。
ただし真夏や真冬は室温変化が大きいため、短時間の外出ならつけっぱなしの方が効率的になることもあります。
最新エアコン技術で電気代を節約する方法

近年のエアコン業界では、省エネ性能を大幅に向上させる革新的な技術が続々と登場しています。
これらの最新技術を理解し活用することで、従来のエアコンと比較して大幅な電気代削減が期待できます。
インバーターエアコンの特徴と節電効果
インバーターエアコンは室温に応じて出力を調整し無駄を抑える技術で、従来型より約20〜40%の省エネ効果があります。
エアコンタイプ | 消費電力の特徴 | 節電効果 |
定速エアコン | 常に一定出力で運転 | 基準 |
インバーターエアコン | 出力を自動調整 | 20~40%削減 |
最新インバーター | 高精度制御 | 40~60%削減 |
最新モデルに搭載される省エネ機能
最新エアコンはインバーターに加え、省エネ機能が充実しています。
人感センサーで人の在室を判別し、不在時は運転を抑え最大30%程度の省エネを実現します。
気流制御機能は温度を均一化し、設定温度を1〜2℃緩和しても快適性を維持できます。
さらに除湿・加湿制御で体感温度を調整し、夏は除湿で涼しく、冬は加湿で暖かく感じられ、効率的に電力消費を抑えます。
AI・IoT連携による効率的な温度管理
AI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)技術の活用により、エアコンの運転効率は飛躍的に向上しています。
これらの技術により、使用者の生活パターンや外部環境に合わせた最適な運転制御が可能になりました。
AI学習機能搭載エアコンは、使用者の行動パターンや好みの温度設定を学習し、最適な運転スケジュールを自動生成します。
帰宅時間や就寝時間を予測し、事前に室温を調整することで効率的な運転を実現します。
筆者が実践しているエアコンのフィルター掃除術

エアコンの電気代を減らすために、筆者はまずはじめにフィルター掃除を行います。
フィルター掃除の後にエアコンを付けると、部屋の温度がすぐに変化することを実感出来ますよね。
フィルター掃除をサボっていた時期の電気代と比較すると、1割程度下がっているのを体感した記憶もあります。
うちには猫がいるので毛の影響もあり、週1回は欠かさず掃除しています。
使っているのはエアコン用洗浄スプレーや脚立、ゴム手袋など。床に新聞紙やビニールを敷くだけで作業もラクになります。
やり方はシンプルで、フィルターを外してやわらかいブラシで軽く洗い、慣れれば15分ほどで終わるので、ちょっとした家事感覚で取り組めます。
時間がないときは「スキマジック」を使って隙間を拭き取るように掃除しています。
気づいた時にサッとできるのが、続けられるコツですね。
まとめ|電気代を節約できるエアコンの最適温度と工夫

エアコンの電気代を節約するには、やっぱり「温度設定」がカギとなります。
冷房は28℃、暖房は20℃を目安に、たった1℃の調整でも電気代を10〜13%抑えられます。
さらに、自動運転モードの活用や2週間に1回のフィルター掃除、室外機まわりの環境チェックなど、ちょっとした工夫を積み重ねるだけで効率はぐんとアップします。
また「つけっぱなし」か「こまめなオンオフ」かも悩みどころですが、外出時間や季節によって使い分ければ無駄を減らせます。
最新の省エネ機能付きエアコンや簡単な加湿・遮熱対策もあわせて取り入れれば、快適さを保ちながら電気代をグッと抑えられますよ。
無理をしなくても続けられる工夫がたくさんあります。
今日からできることを一つずつ試して、快適で節約上手な暮らしを楽しんでみてください。
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